« City Switch 2008 IZUMO:: Booklet of the workshop | MAIN | City Switch 2010 IZUMO:: What is City Swtich? »

DUSP2008-2009 INTERVIEW::Marcus Westbury, Renew Newcastle
動的都市空間 インタビュー::マーカス・ウエストベリ(リニュー・ニューキャッスル代表)

動的都市空間 インタビュー
Marcus Westbury(Renew Newcastle代表)
2009年2月27日
@メルボルン、リバーランド
聞き手::日高仁、山代悟、安藤洋平

DUSP INTERVIEW SERIES
Marcus Westbury, Renew Newcastle
on 27th Feb 2009
@Riverland, Melbourne
Interviewer::Jin Hidaka, Satoru Yamashiro, Y. Ando
SORRY, ONLY IN JAPANESE NOW!

20090227MarcusWestbury.jpg

ーMarcusWestburyさんの活動について教えてください。

Marcus 私たちの活動はシドニーに活動拠点をもっている都市計画家のCraig Allchin氏らとの共同活動で、シドニーの北150kmほどにあるニューキャッスルという都市を舞台としたものです。工業都市であり私の出身地でもあります。昔は工業都市として栄えましたが、近年では衰退し、中心部は空き家が目立つようになっています。

私たちの活動は、このニューキャッスルの中心街にある空き家のデータベースをつくり、短期間ではありますがこれをアーティストに格安で提供するというもので、そのための会社をつくっています。

ー会社の名前はなんですか?

Marcus 「Renew Newcastle」といいます。これは非営利の会社です。

ヨーロッパではテンポラリーな場所の使用がとても活発ですが、オーストラリアではこうはいきません。ここメルボルンにも空き家がたくさんありますが、借りようと思ってもトラブルを恐れてなかなか貸してもらえないのです。この会社はここの家主との交渉や契約と行った困難な部分を引き受け、アーティストに場所を提供しようというものです。

ーヨーロッパではいわゆるスクオッティング(不法占拠)が良く見られますよね。以前ヨーロッパのアーティスト・ラン・イニシアチブ(ARI)を見て廻ったのですが、その多くはスクオッティングから始まっていました。

Marcus もちろんメルボルンにもそのようなスクオッティングの事例はなくはないのですが、とても例外的です。我々のしていることは、合法的なスクオッティングとでも呼べるかもしれません。

20090227MarcusWestbury2.jpg

ーMarcusさんはこれまでどのようなことをされてきたのですか?

Marcus 私自身はアーティストではありません。まずは芸術祭のディレクターとして活動を始めました。まずはニューキャッスルのフェステイバルに関わり、メルボルンにきてからはNEXT WAVEフェスティバルに5年ほど関わりました。アーティストととの仕事も多く、ABCのTV番組でアートと文化の紹介などをしています。

ーニューキャッスルという街と、このプロジェクトの成り立ちについてもう少し詳しく教えてもらえますか?

Marcus 私は今35歳ですが、23歳まではニューキャッスルにいました。小さい頃から町中に出来始めた空き家でなにかできないものかと考えていました。
 
ニューキャッスルの中心部は港に近い半島の先端にあり、中心部の近くにはビーチもありますが空っぽです。中心部の建物はせいぜい4、5階建てです。ここの中心部のハンター通やキングス通に文字通り100ほどの空き家があります。中心街は200年ほどの歴史をもち、これはオーストラリアでは古い方です。

現在では中心部は内陸部の郊外の小都市によってとりまかれています。多くの人々は郊外に住み、エアコンの効いた大きなショッピングセンターに車で買い物に行くという生活をしています。郊外から中心部には路面電車でいくことが出来ましたが、いまはなくなってしまいました。

ーニューキャッスル人口は減少しているのですか?

Marcus おおよそフラットです。シドニーは北に拡大を続けていて、ニューキャッスルは南に拡大しています。150kmほど離れていますが、次第に一体になりつつあります。

このニューキャッスルの中心部で再開発の計画がもちあがり、ショッピングセンターを計画したのです。そのために4つのブロックに120軒ほどの空き家をもっている不動産業者がいます。この再開発計画は、現在の経済情勢の問題もあり、いつ計画が実行に移されるかわかりません。ここの空き家を我々が借り上げ、責任をもって管理し、退去の時期が来たら速やかに退出するということを家主に約束しています。

不動産を貸すのには様々なリスクがありますが、Renew Newcastleが責任を持つことで、オーナーは居住者が居座ったりということを恐れずに短期間空いたスペースを貸し出すことが出来るのです。

そうして街に人々がもどってくることで、街の荒廃が食い止められるのです。

ーこれはいつごろ始まったプロジェクトなのですか?

Marcus 2008年中頃に企画をスタートし、12月には不動産会社からの借用の契約を結び、2009年1月にはじめて使用者に鍵を渡し、現地でのプロジェクトがスタートしたのは2月21日(土)です。まずは6つのビルを利用してスタートしました。

ーアーティストに貸し出すときの賃料はどのくらいですか?相場より安いのですか?

Marcus ほどんどただみたいなものです。我々は建物の所有者から20棟にたいする権利をまとめて1ドルで契約しています。これをきれいに使い、必要なときにはすぐに返却することが条件です。部屋を借りるのは週20ドルほどです。これはほとんどプロジェクトへの参加費程度のものです。

格安で建物を貸し出す不動産業者としても、街が荒廃せず、いざというときにはすぐに建物を明け渡してもらえ、さらには減税の効果もあるというわけです。

ーこういった活動はオーストラリアに他にもあるのですか?

Marcus 無いと思います。「permanent structure to allow temporary use 仮設的な使用を可能にする恒久的な構造」というのは全く新しいモデルだと言えると思います。

日本にもこのような活動はありますか?

ー例えば東京の日本橋地区のCETのような、空き家を利用した一時的なアートイベントはありますが、このような短期使用のための恒久的な仕組みというのは聞いたことがありません。

Marcus これは余っている場所を使おうというプロジェクトであり、いかに迅速に対応できるかという勝負なのです。一週間空いているから一週間使い、一ヶ月空いているのであれば一ヶ月使う。

こういったことを実行するには何万ドルとか、何十万ドルといったお金は必要ないのです。このプロジェクトのために私が投資したのは1万ドルほどでしょうか。このお金もプロジェクトのなかで十分回収されるでしょう。特に公的な援助はうけていません。

アーバンデザインの現場では数多くのレポートが作られ、そして決して実行されることのない計画案がたくさん作られています。そのうちの僅かな資金でこういったことは実行可能なのです。我々がひとつのデモンストレーションをしたいのです。

ーデモンストレーションとはどういう意味ですか?何をデモンストレーションするのですか?

Marcus デモンストレーションには、何かを主張し行進する「デモ」という意味と、何かの可能性を表現するという二つの意味があります。我々がしたいのは当然後者です。

空きビルにしたままどうあるべきかを議論するのではなく、使いながらその可能性を示したいのです。お金はないけれど、アイデアはある、そういった人々を街に送り込むだけでいいのです。

ここメルボルンは90年代に大変な不況を経験しました。中心部には空き家たくさん出来ました。家賃はとても安くなり、リカーライセンス(酒類販売の免許)も安いため、小さなバーがたくさん中心部に出来ました。今のメルボルンの面白い活動はこの不況のころの空き家をつかって若い人々がはじめたものの名残なのです。近年では再び家賃が高くなってきたため、こういった若い人々の活動は難しくなってきていますが、最近の景気後退でまたこういったチャンスが巡ってきているのではないかと思います。